組織構造を見直し業務効率化に対応するポイント

組織構造が業務効率に与える影響

企業は拡大とともに社員や外注業者が増加していきます。それとともに組織構造も進化していき、部、課、係、といった階層化も進みます。 一方で、業務効率性から組織構造を見ると必ずしも最適化されているケースばかりではありません。

業務効率を低下させる重複作業の増加

社員規模が一定以上になると、重複作業が発生してきます。同じような資料を作成していたり、別々の担当者が同じデータを基に何度も入力作業をしていたり、という事は良くあります。

この様な重複には、良い点もあれば、悪い点もあります。例えば、日立と東芝が類似の家電製品を販売し、競い合うことで品質レベルが向上する、という競争原理が働きます。

つまり社内でも一定の競争心があった方が品質レベルが向上します。一方で、重複作業は一人当たり利益の低下を招きます。

単純な作業の重複を減らし、創造的な部分の仕事で競争していく環境をつくる事が課題といえます。

情報共有の阻害要因が発生

また組織大きくなると、自部署の成果を最優先するセクショナリズムが発生し、部分最適に陥りがちになります。企業内でも成果を目指し、ある程度の競争意識が必要ですが、激化すると部分最適に至る傾向になります。

特に情報の共有に関しては、有用な情報を他者に共有しないというように、影響が出やすい部分であり、会社サイドで上手く回る仕組みを考えていく必要があります。

組織構造を考える際のポイント

組織構造を考える際の基本的なポイントは、「顧客への迅速な対応」「専門性の向上」、の切り口で考えるのが一般的ですが、組織構造は同時に重複作業や、情報共有等の業務効率にも大きな影響を与えます。

近年はインターネット、AI、ロボット等のITが発展してきていますので、これらを組織内で活用し効率性をいかに高めていく事が出来るかも企業競争において重要になってきています。

但し、一歩間違うと顧客の満足度低下や専門性の低下を招く結果となりかねないため、計画的に取組むべきといえます。

組織構造の基本種類と特徴

この様な「重複作業」「セクショナリズム」は組織構造が原因で発生している可能性があります。組織構造は、ビジネスモデル、組織風土、成長ステージ、組織規模、等により最適なスタイルが異なりますが、既存の組織構造が固まってしまっていると柔軟性を失います。事業環境の変化適応し組織構造も変化していくべきです。

以下は代表的な組織構造と特徴になります。特徴を押させることで組織構造を変更する際の参考になります。

機能別組織と事業別組織の違い

機能別組織は、「製造」「営業」といった機能毎に部署を設置します。この組織構造のメリットは、専門性を高める事が可能になります。デメリットは、様々な業界の顧客がいた場合、迅速な対応が出来ないことです。

事業別組織は、「金属」「樹脂」といった業界毎に部署を設置します。この組織構造のメリットは、複数業界の顧客に迅速な対応が出来る事です。デメリットは、顧客視点で設置されているため、機能の重複が発生することです。

ライン&スタッフ型

通常のライン組織は縦のラインですが、ライン&スタッフ型はライン組織に加えて専門的な仕事を担う部署を設置するものです。

この専門的な仕事の内容は企業毎で異なりますが、マーケティングやITを全社的な課題として捉えて設置する企業も多いようです。

プロジェクト型組織

あるプロジェクトを達成のために複数部署のメンバーが期間限定でチームを作ります。プロジェクト目的が達成されれば、解散するケース、新たに部署を設置するケースがあります。

新事業立上げプロジェクトや、業務改善プロジェクト等、変革時には必ず必要となる組織形態です。

組織構造とIT化の関係

前述のように組織構造は、顧客や専門性といった軸で考えますが、IT活用も踏まえたうえで最適なものを考える事が有効です。

一般的には、業務効率のためのIT化プロジェクトを進めた後に、全社的な役割を担う部門を設置していく方法がとられます。